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一 かどで ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 六 物 語 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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荒涼というのかなあ・・ ここへくるまでに通ってきた恐ろしい山々にもまけないようなところ。 ここも都の内とはねえ。 でも・・ついに来たんだ。 京の都に。 「物語・・」 京の都には物語があるんだ。 「母さま、おねがい」 まだ落ち着きもやらぬに、せがんでせがんで・・。 三条の宮の御殿に、親戚のおばさんが宮仕えに出ておられて、衛門の命婦とおっしゃるかたですが、そのお方をたずねてお手紙をさしあげると、とても喜んでくださって、姫様のお下がりをいただいたとかで、うつくしい冊子の本をいくつか、特別に、すずりの箱に入れて、あつらえてくださいました。 わあ! 「うれしいぃぃぃ〜\(*´∇`*)/ イエィ」 夜、昼これを見ることから始まって ああ・・また・・また見たい・・見たい だけど・・ だれが求めて見せてくれるだろう。。 上ってきたばかりで、まだ知り合いもない、この都はずれには。 継母という人は、昔宮仕えをしていた人でした。 そのせいなのでしょうか・・ 父様との間柄がうまくいかなくなって、よそへ行くことになりました。 五つくらいの小さい子たちをつれて、出て行かれるとき「優しかったあなたのことは、けして忘れない」と言って、軒端近くの大きな梅の木を見上げながら「これに花が咲くころまた来るから」と言い置きして行ってしまいました。 悲しくて恋しくて、一人でいるときは思い出すたびに泣いた。 そして、年が明け、早く梅が咲かないかなあ・・ 梅が咲いたら来るといった。毎日、毎日、梅の木を見て暮らした。 花が咲いた。みんな咲いたのに、音沙汰もない。 枝を折って 頼めしをなほや待つべき霜枯れし梅をも春はわすれざりけり と書いてやると、細やかに優しい言葉が書かれていて なほ頼め梅の立ち枝はちぎりおかぬ思ひのほかの人も訪ふなり と歌が添えられていました。 その春、病気がずいぶんはやって、まつさとのわたりで月に照らされたときの、あのうつくしかった乳母のおばさんも、その流行病で三月一日に亡くなってしまいました。 悲しくて悲しくて、物語を見たかった気持ちもなくなって、泣けて泣けて・・見ると、日の暮れ方、夕陽がぱあっとさしたところに桜が、散って散って散って・・ 散る花もまた来む春は見もやせむやがてわかれし人ぞ恋しき また聞いたところでは、侍従の大納言のお姫様もお亡くなりになられたとか。夫の中将様のお嘆きになるなるさま、わが身の悲しい折、なおさらに悲しく聞きました。 京に上りついたときに、これを手本にと、姫様の御直筆をくださって「さ夜ふけてねざめざりせば」など書いて「鳥辺山谷に煙のもえたたばはかなく見えしわれと知らなむ」とそれは美しくことばにあらわせないほどすばらしくお書きになられたのを見ては、いよいよ泣かずにはいられないのでした。 ![]() では、あのころにもどって 佐紀といっしょに、本をよみましょうか ![]() この窓から、とびましょう 佐紀の声がきけます ![]() ![]() ![]() 次は 物 語 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ほうむ |